2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ヒストリカルサイン

彼女の名前を口にするたび、僕はひどく奇妙な心地がした。それは具現化できるものではなく、誰もが目にしたことがないにもかかわらず、一つの概念として理解されていたからであり、そうした呼称で呼ばれることを彼女はあまり気に入っていなかったにもかかわ…

オブジェとしての彼女

ふとしたときに美術館へ足を運ぶ。隣に彼女がいたのなら、例えば手をつなぎながら目の前の作品のひとつひとつについて互いに感想を交わすだろうか、と考える。彼女ならどう評するだろうか、と。現実的でない、と切り捨てるだろうか。それともただただ無言の…